犬に必要な栄養素は、ライフステージによって異なります。
ドッグフードは種類が豊富にあるため、初めて犬を飼う際には戸惑うことが多いかと思います。
本記事ではそんな、ドッグフード、選び方を細かく解説します。
目次
ドッグフード選びの基本
ドッグフード選びは、愛犬の成長と健康を維持するために大切です。
適切な栄養バランスが整った食事は、病気、アレルギーの予防にも役立ちます
犬の「成長段階で選ぶ」ドッグフード
犬の成長段階は成長期・維持期・高齢期の3つからなります。
それぞれの成長段階によって必要な栄養素が異なります。
以下を一つの基準として参考にしてください。
「成長期:生後0〜18ヶ月ごろ」から選ぶ、ドッグフード
犬の成長期は超小型犬〜小型犬で約8〜10ヶ月、中型犬は9〜12ヶ月、大型犬は18ヶ月程度とされています。この時期の犬の体の大きさは日に日に大きくなっていきます。歯や骨の京成のためにカルシウムやリンなどのミネラル、筋肉を形成するためタンパク質など、多くの栄養素が必要になります。また、エネルギー源となる脂質、免疫力を高めるためのビタミンも必要になります。
成長期に「最低限必要な栄養素」の基準
栄養基準を策定しているアメリカの団体、AAFCO(アーフコ・全米飼料検査官協会)では以下を推奨しています。最低基準値となります。
タンパク質 | 22.5%以上 |
脂質 | 8.5%以上 |
カルシウム | 1.2%以上 |
リン | 1%以上 |
ナトリウム | 0.3%以上 |
マグネシウム | 0.06%以上 |
上記に炭水化物が含まれていませんが、AAFCOは「炭水化物の最低量はゼロで問題ない」としています。
ただ、炭水化物には食物繊維なども含まれ犬の腸内環境を整える役割があるとされていますのでアレルギーなどがなければ多少の場合は好ましいでしょう。
また、繊維質も含まれていませんがAAFCO自体がこの値を定めていません。
ドッグフードに含まれている一般的な値としては2〜5%程度となります。
タンパク質は上の表では22.5%以上となっていますが「過剰供給になることはない」との見方を示しています。ただ、過剰なタンパク質の摂取は食物アレルギー、また、腎臓に負担をかける場合もあるので注意が必要でしょう。
オススメのドッグフード
動物性のタンパク質が多く含まれること、アレルギーになりにくい主原料(ラム、魚など)、肥満防止に低脂質のドッグフードがおすすめです。
以下おすすめのドッグフードです。
をご覧ください。
「維持期:1〜7歳まで」から選ぶ、ドッグフード
犬の維持期は1〜7歳とされています。
この時期の犬は成長が終わり、成長期よりも消費されるカロリーが少なくなるため、維持期のフードから切り替えなければなりません。
成長期同様にフードを与えていると栄養過多となり、肥満に繋がります。
維持期に「最低限必要な栄養素」の基準
栄養基準を策定しているアメリカの団体、AAFCO(アーフコ・全米飼料検査官協会)では以下を推奨しています。最低基準値となります。
タンパク質 | 18%以上 |
脂質 | 5.5%以上 |
カルシウム | 0.5%以上 |
リン | 0.4%以上 |
ナトリウム | 0.08%以上 |
マグネシウム | 0.06%以上 |
上記の基準を参考にフードを選ぶことをおすすめします。
以下おすすめのドッグフードです。
をご覧ください。
「高齢期:8歳〜」から選ぶ、ドッグフード
AAFCO(アーフコ・全米飼料検査官協会)が定める、シニア犬に必要な栄養素基準は、維持期と同じです。
ただ、シニア期になってくると筋肉を生成する能力が衰えてきます。
維持期よりも多くのタンパク質を与えることを推奨する獣医師もいますが、多くのタンパク質を摂取し続けつと肝臓や腎臓にダメージを与えることもあります。
それを解決するには良質なタンパク質を与えることです。
良質なタンパク質はアミノ酸スコアというものが高く、効率よくタンパク質を吸収し活用することができます。
肉類では脂肪の少ない赤身肉がおすすめです。
その他にも腸内環境を整える乳酸菌、関節の健康維持に効果が期待できるコンドロイチン、良質な脂質を含む魚類などが含まれるフードもおすすめです。
フードタイプで選ぶドッグフード
ドッグフードには、ドライフードやウェットフード、セミモイストフードなどがあります。
ほとんどのご家庭で与えているのはドライフードでしょう。
ドッグフード:ドライフードの特徴
ドライフードはカリカリの硬いタイプのフードです。水分量10%以下と、ほとんど、水分を含んでいないため、賞味期限が長く、保存も容易なため、飼い主にとって扱いやすいという利点があります。
食事の栄養素も高いものが多く、ドライフードと水を与えれば十分な栄養が取れてしまいます。
ただし、シニア犬などで硬いものが食べられない場合や、腎臓に病気を持っている犬の場合はセミモイスト、ウェットなどもいいでしょう。
ドライフードのメリット
ドライフードには以下のようなメリットがあります。
- 保存しやすい
- 総合栄養食が多い
- ウェットに比べて安価
ドライフードのデメリット
ドライフードのデメリットは以下のようなものがあります。
- ウェットやセミモイストに比べると嗜好性が低い
ドッグフード:ウェットフードとは?
ウェットフードは80%程度の水分を含むものです。
ウェットフードをメインで与えているご家庭はあまりないかと思います。
基本的にトッピングなどに使うことが多いです。
ウェットフードのメリット
ウェットフードのメリットには以下のようなものがあります。
- 嗜好性が高い
- 水分含有量が多く腎臓が悪い子などには最適
ウェットフードのデメリット
ウェットフードのデメリットには以下のようなものがあります。
- ご飯代が高い
- 開封後の長期保存ができない
- 水分量が多いため添加物も多くなりやすい
ドッグフード:セミモイストフードとは?
セミモイストのドッグフードは、ドライフードとウェットフードの中間の水分を含んだ半生タイプのフードです。水分量は概ね25%〜30%程度です。
このセミモイストは柔らかい口当たりでありながら適度な歯応えがあり、比較的、保存がしやすいという特徴があります。
歯が悪いシニア犬などでも比較的、食べやすいです。
また、ドライフードと比べると、水分量が比較的多いため、水分摂取量を増やすことができます。
ただ、ドライフードと比べると賞味期限や風味を保つために添加物をより多く使用している場合などもあるので注意が必要です。
セミモイストフードのメリット
セミモイストフードのメリットには以下のようなものがあります。
- 歯や噛む力がくなったシニア犬でも食べられる
- 水分を摂取できるため腎臓が悪い場合に適している
- ウェットフードに比べて保存しやすい
セミモイストフードのデメリット
セミモイストフードのデメリットには以下のようなものがあります。
- ドライフードと比べると保存期間が短く、腐りやすい
- 添加物が多くなりやすい
- 種類が少ない
まとめ:フードタイプで選ぶドッグフード
基本はドライフードを与え、トッピングでウェットフード、シニア犬などで硬いものを食べられなくなったらセミモイスト、ウェットなど、愛犬の体調やステージに合わせて選ぶといいでしょう。
用途によって選ぶドッグフード
ドッグフードには大きく4つの種類があります。
- 主食(総合栄養食)
- 間食(おやつ)
- 療養食
- 目的食
この4つについて、詳しく解説します。
ドッグフード:主食(総合栄養食)とは
総合栄養食が、犬の毎日の主食として多く選ばれています。フードと水を与えるだけで必要な栄養が摂取できます。成長期・維持期・高齢期などのステージに合わせたドッグフードがあるので、愛犬のステージに合わせたものを選びましょう。
ドッグフード:間食(おやつ)とは
間食(おやつ)は、しつけやご褒美、また、特別な日などに与える食事です。
ジャーキーやスナックなどですね。
注意点としては、あくまで間食(おやつ)になりますので与えすぎには注意が必要です。
カロリー過多で肥満につながったり、味を覚えてしまって、いつものご飯を食べてくれなくなったりすることもあります。
ドッグフード:療法食とは
療法食とは、特定の病気の治療や予防を目的とした特別なドッグフードのことを指します。
ドッグフード:目的食とは
目的食は、主食、間食、療法食のいずれにも分類されません。
犬の年齢や体重、生活環境に合わせて特定の目的で特定の栄養素を調整したもので、嗜好性増進などの目的を満たすためのものもあります。
サプリメントのような用途で栄養やカロリーを補完するもの、主食などにふりかけとして嗜好性を増進させるようなものがあります。
健康を意識したフード選びについて
上述した以外にも、フード選びの大切なポイントとして、アレルギーや添加物などに懸念のあるものを知っておく必要があります。
これについての詳細は「ドッグフード、避けたい添加物・注意が必要な原材料、徹底ガイド」をご覧ください。
また、栄養バランスだけではなく一度に与える量についても注意が必要です。
犬のごはんの回数と量について
犬の食事は一日に数回に分けて与えることが望ましいとされています。
その際の一度に与える量は、犬の体重、年齢、活動量によって異なります。
ドッグフードに記載があるので確認しましょう。
犬に必要な1日の食事回数
以下を目安にご飯を与えましょう。
成長期 | 一日に3回から4回 ※成長段階のため、栄養がたくさん必要ですが、内臓がまだ成熟していないのでたくさんの量を一度に与えると消化不良で嘔吐するので、少なめ・分けて与えるようにしましょう。 |
維持期 | 2回 ※朝と晩の2回を基本として与えましょう。 |
高齢期 | 3〜5回 ※シニアになると消化機能が低下してきて、一度に多く摂取すると嘔吐や下痢の原因になります。様子を見ながら回数を調整する必要があります。 |
また、ワイマラナーやドーベルマンなどの胸の深い犬種で食べる速度が早い子は胃拡張捻転になりやすいため、1度の食事も少しずつ与えて時間をかけて食べさせるようにしましょう。
犬に必要な1日の食事の量
食事量はフードのカロリーによって大きく変わります。
フードのパッケージに記載がありますのでそれを参考にしながら、与えてましょう。
まとめ
愛犬の日々の食事は健康維持には大切なポイントになります。
子犬、成犬、高齢期で必要な食事量や栄養バランスも異なります。
また、犬も長寿化でさまざまな疾患を患うこともあります。
ステージや体質に合わせた食事選びが必要です。