獣医師の松本 千聖さんに回答していただきました。
松本 千聖(獣医師)さんの回答
犬は室内で共に暮らす家族であるという考えが浸透していることにより、昔と比べて排泄を外でしかしないというお悩みは減りつつありますが、過去に外で飼育されていたり、室内で排泄をすると叱られた経験があったりなどの様々な理由により、外でしかトイレをできないというケースは多くあります。
愛犬が元気で健康な時ならば特に問題となることは多くありませんが、病気による入院やシニアになってからの介護の時などは、排泄のたびに外へ連れていくことが難しくなってくるため、可能ならば早々に室内でもできるようにしておくことをおすすめします。
子犬の時のトイレトレーニングと外でしかトイレをしない犬のトイレトレーニングでは後者の方が難しく、飼い主さんの根気が必要なことがほとんどです。決して焦らずにゆっくり時間をかけて行っていくという心構えを持つようにしましょう。
方法として、まずは愛犬が外でした排泄物をつけたペットシートを室内のトイレとしたい場所においておく方法を挙げることができます。基本的に犬は自分の排泄物の匂いがする場所に繰り返して排泄するという習慣があるため、トイレをしたそうなサインを見せたらそこに連れて行って排泄物の匂いをかがせるようにします。仮にトイレとしたい場所でなくても室内で排泄した際は思いっきり褒めてあげましょう。
はじめのうちは室内でトイレをするたびにおやつをあげることも有効です。ここで大事な点はすぐに室内でできない場合でも、決して声を荒げたり怒ったりしてはいけないということであり、このような様子を飼い主さんが見せてしまうと犬は「トイレをしたことを叱られた」と考えてしまい、排泄を我慢して膀胱炎などの病気を引き起こしてしまう危険性があります。
犬にとって今までの習慣を変えるということは私たち人間が想像するよりも遥かに難しいことであるということを忘れないようにしてあげてください。
なお、排泄物の匂いのみでのトレーニングが難しくても今は様々なトイレトレーニンググッズが販売されているため、焦らずにゆっくりこれらのグッズを活用することも良いでしょう。