犬と暮らしていると抜け毛が気になることもありますよね。
しかし、単に抜け毛が多いからといって換毛期かな?と侮ってはいけないケースもありますので、愛犬の抜け毛が正常なのかどうか知っておくようにしましょう。
犬の抜け毛の原因とは?
まずは、犬の抜け毛の主な原因について解説します。
換毛期
犬種や年齢などに差はありますが、犬には年に2回の換毛期があります。
夏毛と冬気に入れ替わる時期だといわれていますね。
換毛期は普段よりも抜け毛が多くなりますが、健康であれば新しく毛が生えてくるので問題ないでしょう。
ブラッシング不足
定期的なブラッシングを行わないと本来抜けるべき毛が抜けず、一定の期間の抜け毛が多く感じることがあります。ブラッシング不足は抜け毛問題だけでなく、毛玉の発生につながりますので、毎日のブラッシングは心がけましょう。プードルなどの毛が抜けない犬種も毛玉になりやすいので定期的にブラッシングをしておきましょう。
病気
病気の症状によって脱毛してしまっている可能性があります。
脱毛だけでは何の病気か診断することはできませんので、気になる脱毛の症状があれば獣医師に相談してみましょう。
薬の副作用
ステロイド剤の長期投与などを行なっている場合は、毛が抜けてしまうという副作用が出る場合があります。
この場合はかかりつけの獣医師さんに相談し、服用量を決めていくといいですね。
栄養不足
被毛の主成分はケラチンというタンパク質の一種です。
ケラチンを生成するにはアミノ酸、亜鉛、ビタミン群などが必要ですが、これらの栄養素が不足すると毛艶がなくなったり、抜け毛が多くなることもあります。
犬の抜け毛から考えられる病気とは?
抜け毛を伴うことのある病気の一例を紹介します。
皮膚炎(膿皮症・皮膚糸状菌症・マラセチア皮膚炎)
代表的な脱毛が症状の病気に「皮膚炎」が挙げられます。
細菌感染が原因の膿皮症や真菌が原因のマラセチア皮膚炎・皮膚糸状菌症が多く見られます。独特の皮膚の匂いがしたり、皮膚が脂っぽくなる、フケが多くなるなどの初期症状が見られます。
寄生虫
ノミやマダニの寄生で毛が抜けていることが考えられます。
ノミの寄生やダニが媒介する「疥癬」という病気は皮膚の痒みがかなり強いのが特徴なので、一晩でも毛がなくなるくらいに自分で舐めて悪化してしまう場合があります。ノミや疥癬は人にも移る病気なので愛犬のノミダニ予防はしっかりと行いましょう。
また、毛包虫という毛穴に住むアカラス(ニキビダニ)と呼ばれる寄生虫によって脱毛症状を起こしている可能性もあります。皮膚搔爬試験で見つかるケースが多いので、動物病院を受診しましょう。
アレルギー
食物アレルギーや環境因子のアレルギーによって皮膚の痒みが起こり脱毛症状が出ていることがあります。アトピー性皮膚炎も同じくアレルギー症状であることが考えられます。
犬のアレルギー検査は高価であまり即座に実施されないことが多いですが、原因の特定と除去をしない限りは改善が見込めない可能性があるので、動物病院で相談しましょう。
甲状腺機能低下症
高齢の犬に多い「甲状腺機能低下症」も脱毛の症状がみられることがあります。
7歳を過ぎた犬に多く発症する病気なので、シニア期に突入したら年に2回ほどは検診を受けると早期発見で治療が開始できます。
初期症状として食欲不振・体重増加・脱毛・活動性の低下などがあげられますので、気になる症状があるようでしたら早めに検査を受けましょう。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
こちらも犬に多く見られる病気のひとつです。
クッシング症候群といって副腎皮質という臓器からホルモンが過分泌される病気です。
症状として脱毛のほかに多飲多尿・腹囲膨満などがみられます。
お水をよく飲むようになった、お腹がなんだか膨れているという異常があれば、早めに検査を受けるようにしましょう。
褥瘡(じょくそう)
褥瘡は寝たきりの犬に多いです。
体の一部に長時間圧力がかかることで皮膚がダメージを受け、炎症が起きてしまう状態です。こちらも脱毛が見られます。褥瘡を予防するには適度な体位変換や介護マットななどを購入し、体圧を分散させるなどが効果的です。
犬の抜け毛の対処法について
ブラッシングをこまめにする
まずは本来抜けるべき毛をしっかりとブラッシングして取り除くことが日々の抜け毛を抑止するのに効果的です。また、おでかけなどで抜け毛が気になる場合は洋服を着用し減少させるように心がけましょう。定期的なトリミングも効果的です。
ノミダニ予防をする
寄生虫感染での脱毛をふせぐために、愛犬のノミダニ予防は実施しましょう。
相談すれば、動物病院で処方してもらえます。毎月1回お薬を投与するだけで簡単に予防することができます。脱毛だけでなく、マダニの寄生は命を落とす病原体を媒介する可能性もあるので、怠らないようにしましょう。基本は通年投与が好ましいですが、地域によっては不要なので獣医師の指示通りに服用しましょう。
定期的にグルーミングをする
トリミングは抜け毛の減少に効果的ですが、皮膚炎や皮膚病になりやすい犬は定期的にお風呂にいれてあげることをおすすめします。健康な犬でも月に1回程度のお風呂は欠かせませんが、皮膚に心配のある犬は1週間に1度の頻度でお風呂に入れて清潔に保つようにしましょう。皮膚炎の防止に繋がります。
食事内容を見直す
食物アレルギーが原因で脱毛している場合は食事内容を見直す必要があります。
アレルギーの検査を実施するか、除去食試験といって食べ物をひとつずつ試し、反応の有無を調べるなどして原因を特定するほかありません。今のご飯で痒みや皮膚炎・脱毛が見られる場合はフードの変更も視野に入れてみてくださいね。
定期検査を受ける
甲状腺機能低下症やクッシング症候群などは血液検査で診断できます。年に2回程度の健康診断はしっかりと受けておきましょう。とくに副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は放置していると糖尿病を併発するリスクが高い病気になり、命に関わる事態になってしまうケースが報告されています。そうならないためにも早期発見で治療できるようにしましょう。
病院に連れていくべき症状とは?
抜け毛だけでなく、以下のような症状があれば獣医師に相談してみましょう。
皮膚の状態が良くない
愛犬の皮膚の状態が異常だと感じた時は、寄生虫の疑いや皮膚炎の疑いがあるので、動物病院を受診しましょう。いつもより脂っぽい時やフケが多いなども初期症状として考えられるのであまり長い間、様子見しないようにしましょう。
ノミダニがついている
愛犬の体にノミやマダニがついている場合は自分で取らずに動物病院に直行しましょう。
自分で引っ張ってしまうと脚や口の一部が体内に残ってしまい、逆に悪化してしまう恐れがあるので、自分では取らないようにしましょう。
食欲低下・元気喪失
食欲が落ちたり、元気がない場合は様々な原因が考えられますので、動物病院を受診することをおすすめします。甲状腺機能低下症の症状に食欲不振や元気喪失があげられるので脱毛に加えて気になる点がある時は獣医師に相談すべきですね。
体重増加・多飲多尿
副腎皮質機能亢進症の症状の一つに多飲多尿がみられます。
多飲多尿は糖尿病の初期症状にも表れることがあり、あまり様子を見ていると手遅れになってしまうケースがあります。いつもより多くお水を飲んでおしっこをよくするなら、愛犬の飲水量を計測してみましょう。
また、食事量が変わらないのに体重が増加しているのも甲状腺機能低下症の疑いがありますので獣医師に相談してみましょう。
まとめ
犬の抜け毛の原因はいくつもあることがわかりましたね。
中には病気が隠れているケースがありますので、換毛期かなと侮るのではなく、大事に至る前に動物病院へ相談することをおすすめします。
また、ノミダニ予防や定期的な健康診断、日々のお手入れなどできることは多く存在しますので、愛犬の健康のため自宅でケアできることは取り入れてみませんか?