シャインマスカットや巨峰など、秋の味覚として多くの人に親しまれているブドウ。
つる性落葉低木であるブドウは、品種改良によって世界中に1万種以上の品種が存在しています。ブドウは、アントシアニンやタンニンなどのポリフェノールが豊富です。特に、アントシアニンは眼精疲労や動脈硬化の予防に効果が期待されています。
そんなブドウは、犬に与えてもよいのでしょうか。今回は、ブドウについて詳しく紹介していきます。

「ブドウ」は犬に食べさせてもいい？

答えは、「いいえ」です。
残念ながら、ワンちゃんにブドウを与えることはできません。ワンちゃんがブドウを食べると、急性腎不全を引き起こす可能性があり、重篤な場合は命を落としてしまう危険があるためです。
本記事では、ブドウがワンちゃんにとって危険な理由や、誤って食べてしまった場合の対処法などについてお話します。

「ブドウ」を犬に食べさせてはいけない理由とは？

ワンちゃんに「ブドウ」を食べさせてはいけない理由は、腎臓に深刻なダメージを与える可能性があるためです。

「ブドウ」に含まれる有毒物質については、現在も特定されていないそうです。ただし、「ブドウ」に含まれるタンニンや、フラボノイド、単糖類をワンちゃんが適切に代謝できず、毒性を発揮する可能性があるといわれています。また、酒石酸（しゅせきさん）が原因だともいわれています。酒石酸は有機化合物で、「ブドウ」に酸味をもたらす成分です。
確定的な要因は不明ですが、ワンちゃんの健康を守るために「ブドウ」を与えることは避けるようにしましょう。

「ブドウ」を食べたことによる症状とは？

ワンちゃんが「ブドウ」を食べたことによる症状は、以下のとおりです。

急性症状

ワンちゃんが「ブドウ」を食べてしまった場合、6〜12時間以内に急性症状を引き起こす可能性があります。

急性症状として、食欲不振や嘔吐、下痢、腹痛が見られます。最も共通する初期症状は、嘔吐です。

急性腎不全の症状

ワンちゃんが「ブドウ」を食べた場合、24〜72時間以内に急性腎不全を引き起こし、最悪の場合は命を落とすことがあります。

急性腎不全は、腎機能が急激に低下することで、体内の水分や電解質のバランスが崩れ、生命維持が困難になる状態です。老廃物が尿中に排出されず、体内に蓄積することで尿毒症になります。

症状としては、運動失調や痙攣、昏睡、呼吸困難、浮腫、口内炎、口臭などがあります。さらに、尿量が一時的に増加することもありますが、次第に減少し、最終的に無尿になります。

「ブドウ」を食べてしまった時の対処法とは？

ワンちゃんが「ブドウ」を食べてしまった時の対処法を以下で紹介するので、万が一の際は参考にしてください。

すぐに動物病院に相談

ワンちゃんが「ブドウ」を食べてしまった場合、すぐに動物病院に連れて行くことが大切です。たとえ少量の「ブドウ」だったとしても、急性腎不全を引き起こし、命に関わる可能性があるためです。

症状が現れるまでに時間がある程度かかることがあるので、目立った症状がなくてもすぐに受診しましょう。嘔吐や下痢、元気がないなどの症状が見られる場合は、急性腎不全の疑いがあるため、特に早急な対応が必要です。

受診する際は、「ブドウ」の種類や食べた時間や量、症状を伝えられるようにメモしておきましょう。また、嘔吐や下痢がある場合は、吐いたものや便を持参すると診断に役立ちます。

動物病院での治療方法

「ブドウ」による中毒症状に対しては、対症療法が中心といわれています。

ワンちゃんが「ブドウ」を食べてしまった際、動物病院では催吐処置や胃洗浄を行われる場合があります。急性腎不全の可能性がある場合は入院し、点滴治療で毒素の排出や水分補給が必要な場合もあります。

「ブドウ」が含まれる加工品に注意

生の「ブドウ」だけでなく、加工品にも注意が必要です。レーズンやブドウジュース、グレープジャム、レーズンパンなどです。ワンちゃんが「ブドウ」の含まれた食品を誤って口にしないよう、注意してあげてください。

特に、レーズンは乾燥している分、成分が凝縮されているので、生の「ブドウ」よりも危険度が高いといわれています。少量でも急性腎不全を引き起こす可能性があるため、ワンちゃんには絶対に与えないでください。

「ブドウ」の誤食に注意

ワンちゃんにとって、「ブドウ」は非常に危険で、たった1粒でも体調の悪化を引き起こす可能性があります。床に落ちた「ブドウ」をワンちゃんが誤って食べないよう、こまめに片付けることが大切です。

また、「ブドウ」を丸呑みすることで、喉に詰まらせて呼吸困難に陥る危険性もあります。

皮をむいたもの、乾燥したものなど、どんな形であっても「ブドウ」はワンちゃんにとって有毒です。大切なワンちゃんの健康を守るために正しい知識を持ち、家族や友人がワンちゃんに「ブドウ」を与えないよう注意してあげてください。