犬は被毛に包まれているため、人間よりも寒さに強いですが、寒さへの耐性は犬によって異なります。
本記事では・・・
- 寒さに強い犬の特徴
- 犬に快適な温度とは
- 犬が寒がっている時の仕草と行動
- 犬の寒さによるトラブル
- 対処法
などを、徹底解説します。
愛犬と共に過ごす冬を安全で快適にするため、ぜひ参考にしてください。
寒さに強い犬の特徴
寒さに強い犬の特徴として体のサイズ、犬の被毛があります。
毛質による違い
犬の被毛には以下の2種類あります。
- 皮膚を守るための太くて硬い毛質のオーバーコート(上毛)
- 体の皮膚に近い側にある綿毛のような体温調節を司るアンダーコート(下毛)
上記の二つを持つ犬をダブルコート、アンダーコートのない犬がシングルコートと呼ばれます。
この二つのうち寒さに強いのはダブルコートの犬種です。
ダブルコートの犬は寒い時期にアンダーコートの毛量が増え、寒さから身を守ります。
それぞれの代表的な犬種は以下です。
シングルコートの人気の犬種
トイプードル、マルチーズ、パピヨン、シーズー、ヨークシャテリア、ミニチュアピンシャー
ダブルコートの人気の犬種
チワワ、ダックスフンド、フレンチ・ブルドッグ、ポメラニアン、シバ犬
体格による違い
体の大きな犬は寒さに強いと言われています。
寒冷地が原産の犬は比較的に体格が良い犬が多いです。
犬に快適な温度とは?
犬が室内で過ごす場合の快適な温度は23〜26℃です。
基本的にはエアコンをつけっぱなしでの生活をおすすめします。
寒さに弱い犬と老犬
原産国が気温の高い国の犬種や、シングルコートの犬種は特に寒さに弱いので注意が必要です。
以下、寒さに弱い犬種の一例です。
- トイプードル
- チワワ
- マルチーズ
- パピヨン
- シーズー
- ヨークシャテリア
- ミニチュアピンシャー
また、老犬の場合は、運動量自体が減ってしまうのと、筋肉量が落ちているため、血行が悪く、足先など、末端まで熱が行き渡りません。
また、食事の量も減ってくるため、脂肪も少なくなる傾向もあります。
さらに、体温調節機能も衰えてくるため、寒さには注意が必要です。
部屋の中では温度をチェックし、寒そうな仕草や行動がある場合は暖をとってあげてください。
以下の章にて、犬が寒がっている時の仕草と行動について解説します。
犬が寒がっている時の仕草と行動
犬が寒がっている時の仕草と行動を知っておくことで、すぐに対処ができます。
体を丸めて動かない
尻尾や体を丸めて、暖を取ろうとします。
また、あまり動きたがりません。
小刻みに体が震える
人間と同様に寒い時にはブルブルと、体を小刻みに動かします。
これは体を守る本能が働いていて、体を小刻みに震えさせることで、熱を生み出そうとするためです。
暖かい場所に移動したり、ブランケットの下に潜り込む
寒い冬の床は、凍えるように冷たいです。
人とは違い、犬は、全身を床につけるようにして、生活するため、床からの温度をより感じます。
床からの冷たさが伝わらない場所に移動したりする犬も多いです。
もし寒そうにしていたら・・・
もし寒そうにしていた場合は、耳先や手、足を触って見てください。
冷たくなっている場合は、かなり寒いと感じている可能性があります。
寒さによる犬のトラブル・病気・怪我と対処法
冬は気温の低下による冷え、空気の乾燥などにより、呼吸器系や皮膚のトラブル、関節の故障などが多く発生しやすいです。
以下に、寒さによる犬のトラブル・病気・怪我などについてまとめます。
伝染病・感染病などによる呼吸器系のトラブル
温度や湿度の低下から免疫力が下がりやすくなることで、呼吸器系のトラブルを発症しやすくなります。また、感染病・伝染病などによる呼吸器系のトラブル・疾患の場合も考えられます。
咳や鼻炎
冷気や空気乾燥などによって、喉などの気管支に刺激が加わることで、咳や鼻炎などの症状がでます。
ウイルス感染症
空気の乾燥などにより、ウイルスの増殖や飛沫などが増え、感染しやすくなります。
また、温度低下からくる冷えにより、体温が下がり、免疫力の低下が原因になり、ウイルス感染の危険度が上昇します。
特に以下の感染症は命の危険もあるため、注意が必要です。
- 犬ジステンパーウイルス感染症
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬伝染性肝炎
肺炎
鼻や喉などの気管支炎や、ウイルス感染症などが悪化して肺炎になる場合もあります。
呼吸器系の疾患の症状
呼吸器系の疾患の症状には以下のようなものがあります。
- 短い乾いた咳をする
- 呼吸の際に異音がする
- 鼻水
- くしゃみ
上記以外にも元気がなくなったり、運動量が減る、食欲低下などの全身症状が見られる場合もあります。
また、重篤なウイルス感染症は、呼吸器の症状だけではなく、さまざまな全身症状が見られ、命の危険を伴います。
予防法
犬種にもよりますが、犬が快適な温度は23〜26℃、湿度は50〜60%程度です。
温度計、湿度計で確認をすることが重要です。
エアコン、加湿器などを利用しましょう。
加湿器がない場合は、愛犬がよく過ごす場所に、濡れタオルを干しておくと、乾燥を防ぐことができます。また、重篤な症状が出やすい感染症は、ワクチン接種を行うことで予防が可能です。
対処法
一過性の場合は予防法と同様の方法で改善する場合もありますが、重篤な症状や長引く場合は、肺炎に移行したり、重度の感染症の可能性もあるので、必ず獣医師へと相談しましょう。
泌尿器系のトラブル
冬場には水を飲む量が減ってしまうことが多いため、泌尿器系のトラブルを起こしやすい時期です。
特にシニア犬、泌尿器系の疾患がある犬、雄犬などは注意が必要です。
泌尿器系のトラブル・疾患には以下のようなものがあります。
尿路結石
腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石ができてしまいます。
これは水分の摂取量が少なくなり、尿の量が濃くなるためです。
また、排尿を我慢することで尿の濃度が濃くなり結果として、発症しやすくなります。
膀胱炎
水分の摂取量が少なくなることにより、排尿の回数や量が減ってしまい、膀胱に細菌が留まってしまうことにより発症します。
泌尿器系の症状
尿路結石、膀胱炎には以下のような症状があります。
- 排尿時に痛そうにする
- 排尿時の量が少ない
- 尿に血液が混じる
- 尿が出てくるまで時間がかかる
- 尿の匂いがきつい
- 粗相をしてしまう
また、結石の場合には、発熱や食欲不振などの、全身症状が見られる場合もあります。
予防法
犬は水を飲ませようとしても、なかなか飲んでくれません。
冬場は特に飲んでくれません。
そのため、以下のような工夫で水分を取らせるようにしましょう。
- ドライフードにウェットフードをトッピングする
- ウェットフードをぬるま湯に溶いて与える
- ヤギミルクパウダーなどをぬるま湯を与える
- ドライフードをぬるま湯でふやかして与える
ぬるま湯に、食品をぬるま湯で溶いたり、ドライフードにぬるま湯を入れる場合は、冬場でも食中毒に注意が必要です。フード、水はこまめに取り替えましょう。
対処法
上の項目の予防法で改善する場合もありますが、症状が重かったり、改善しない場合は一度、獣医師へと相談しましょう。
必要に応じて、点滴や飲み薬などが処方されます。
関節などのトラブル
人間でも冬になると、関節の痛みを訴えることも多くありますが、犬についても同様に冬場には関節などのトラブルが多く発生します。
これは寒さで血流が滞ってしまうことで、周辺の筋肉が緊張してこわばってしまい、関節に大きな負担がかかり、関節炎などを引き起こすためです。
関節炎などの症状
関節炎などには、以下のような症状があります。
- 足を引きずるように歩く
- 足の痛みをかばうような仕草をする
- 散歩に行きたがらない
- 体、特に足を触ろうとしたら嫌がる
- 立ち上がりに時間がかかる
- 活動量が減る
この他にも、いつもと、行動や動き方などが違う場合は、関節炎がの場合が考えられます。
予防法と対処法
まずは体に負担のかからないようにするための工夫が必要です。
- 急な運動を避ける
- 散歩のスタートはゆっくり始める
- 散歩は室内で少し、遊ばせるなどウォーミングアップをしてから出発する
- 肥満を避け、関節への負担を避ける
- 犬用のカーペットなどを敷いて滑らないようにする
- 部屋の温度を23〜25度くらいを心がける
改善が見られない場合や、症状が重い場合は、獣医師へと相談しましょう。
皮膚トラブル
冬場は、夏場と違って、湿度が低いため、アトピーやアレルギー性皮膚炎などは少し落ち着きますが、気温の低下や、乾燥などによってさまざまな皮膚トラブルを引き起こす場合があります。
皮膚炎
気温の低下による冷え、乾燥した空気によって、乾燥肌になる場合があります。
以下のような症状が見られます。
- 被毛の乾燥
- 毛並みが悪くなる
- 肌がカサつく
- 体を掻きむしる
- 体を掻きむしることによる出血
- 皮膚の赤み
- 体を頻繁に舐める
また、かゆみから、掻きむしる・舐めるという行動をとってしまうことでより悪化してしまう場合もあります。
予防法と対処法
保湿が大切です。
具体的には以下のような対処法が有効です。
- 加湿器で湿度を50〜60%に保つ
- 保湿力のあるシャンプーを使う
- 保湿ローションを塗ってあげる
- フードの脂質が少なければ量の多いものにする(オメガ3脂肪酸を多く含むものがベスト)
また、冬場のシャンプーの温度は高すぎないようにすること、ドライヤーの前にはタオルドライをしっかりして、ドライヤーで乾かすときは、近づけすぎない、温度は高すぎないように気をつけましょう。
ヒートショック
人間と同じように、急激な温度変化により、犬も同様にヒートショックを起こす場合があります。
温かい室内から、寒い外への散歩、また、冬場の外での散歩から、温かい室内に入った時などに起こることがあります。シニア犬や循環器、呼吸器系の病気を持っている犬は特に注意が必要です。
ヒートショックの症状
ヒートショックの症状には以下のようなものがあります。
- ふらつき
- 下痢や嘔吐
- 視点が定まらない
- 呼吸困難
- 貧血
- 脈拍・心拍数の上昇
ヒートショックの、これらの症状は命の危険に関わるため、すぐに動物病院を受診する必要があります。
予防法
冬場の散歩は以下のような点に注意しましょう。
- 暖房の効いていない場所でウォーミングアップをしてから出発する
- 出発する前に室内の温度を少し下げておく
- 玄関で少し、待ってから出発する
- 散歩は日中に行う
- 散歩の時は暖かい服を着せる
このような、散歩の前の準備を行うことが、ヒートショックの予防に繋がります。
また、シャンプーなどの際は寒暖差がないように注意する、肥満に気をましょう。
対処法
ヒートショックを起こした場合は、心筋梗塞や脳卒中につながる可能性があります。
もし、ヒートショックが疑われる場合は、大きな声をかけたり、無理に起こさないようにしましょう。
急な行動は、血圧の変化などのより、症状が悪化します。
安静にしつつ、早急に動物病院へ連れて行き、必要な処置を受けましょう。
また、軽いふらつき程度の場合もありますが、獣医師へと相談しましょう。
まとめ:体調不良の症状を見逃さない
本記事以外にも、体調不良により、下痢や嘔吐などの症状が出てくる犬もいます。
愛犬の日々の行動や、動きなどを観察しておき、その変化などに気づけるようにしておくことで、異常を素早く、把握することができます。
また、ウイルス感染症やヒートショックなどは命の危険に関わる場合も多くあるので、注意が必要です。