秋の味覚として親しまれる銀杏。
銀杏は、イチョウ並木の道にもよく見られる身近な存在です。黄色く美しい紅葉を楽しみながら散歩する時期には、道端に銀杏の実が落ちていることも珍しくありません。食卓ではおつまみや料理の食材として人気の銀杏ですが、ワンちゃんが誤って口にした場合、中毒の危険性はないのでしょうか?
本記事では、銀杏の特徴と、ワンちゃんへの影響について詳しく紹介します。
目次
「銀杏」はワンちゃんに食べさせてもいい?
答えは、「いいえ」です。
銀杏はワンちゃんが食べると中毒症状を引き起こす可能性があります。
本記事では、銀杏をワンちゃんに与えてはいけない理由や、誤って食べてしまった際の注意点について詳しく説明します。
「銀杏」をワンちゃんに食べさせてはいけない理由とは?
「銀杏」をワンちゃんに食べさせてはいけない理由を、以下で詳しく説明します。
メチルピリドキシンによる中毒
「銀杏」の胚乳部分にメチルピリドキシンという成分が含まれています。ワンちゃんが摂取すると、メチルピリドキシンがビタミンB6の働きを阻害し、ビタミンB6欠乏症を引き起こすことによって、中毒症状を引き起こすといわれています。
「銀杏」の殻による窒息や腸閉塞
「銀杏」は、固い殻に包まれています。そのため、ワンちゃんが「銀杏」を殻ごと呑み込むと、消化不良による嘔吐や下痢を起こす可能性があります。また、窒息や腸閉塞を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
「銀杏」の皮によるアレルギー
「銀杏」の外側にある柔らかい部分は外種皮と呼ばれ、この外種皮に触れることでワンちゃんの皮膚や肉球、口の中に炎症を引き起こす可能性があります。
外種皮にはギンコール酸という成分が含まれており、アレルギーや皮膚炎の原因となるからです。
「銀杏」を食べたことによる症状とは?
ワンちゃんが「銀杏」を食べたことによる症状は、以下のとおりです。
メチルピリドキシン中毒による症状
「銀杏」を食べた量が少量であれば、軽い体調不良にとどまることもありますが、大量に食べた場合は、深刻な症状が生じる恐れがあります。中毒症状として、嘔吐や下痢、食欲不振、口の中の炎症、よだれの増加、ふらつきがみられます。
さらに重篤な場合は、けいれんや意識障害、呼吸困難、発作がみられることがあるため、注意が必要です。症状は「銀杏」を摂取後、1〜12時間程度で現れることが多いとされています。
腸閉塞による症状
腸閉塞の主な症状には、嘔吐や下痢、食欲不振、腹痛といった消化器症状がみられます。元気のなさや、お腹に触れると嫌がるといった行動がみられることもあるでしょう。
腸閉塞を放置すると腸の一部が壊死し、命に関わることがあるため、早急な対処が必要となります。
「銀杏」を食べてしまった時の対処法とは?
ワンちゃんが「銀杏」を食べてしまった場合の対処法を以下で紹介します。万が一の際は参考にしてください。
口に残っている場合は取り出す
ワンちゃんが「銀杏」を誤って食べてしまった場合は、すぐに対応することが大切です。「銀杏」が口の中に残っている場合は、できるだけ取り除きましょう。その後、動物病院に連絡して指示を仰いでください。
動物病院に相談
ワンちゃんが「銀杏」を食べてしまった場合は、動物病院に相談してください。少量では症状が出ない場合もありますが、「銀杏」を食べた場合は、必ずワンちゃんの様子を観察し、異変がないか注意深く確認する必要があります。
ただし、大量の「銀杏」を食べた場合や、症状がみられる場合は、早急に動物病院を受診しましょう。「銀杏」は、子どもであれば7粒程度から中毒症状がみられることもあるといわれています。ワンちゃんは、子どもよりも体が小さいため、ごく少量の「銀杏」でも中毒を引き起こす危険があると考えられます。
散歩中の注意点
強烈な臭いがする「銀杏」を嫌がるワンちゃんもいますが、好奇心から口にしてしまう場合もあります。特に、散歩中の拾い食いが原因となることが多いため、イチョウ並木の道を散歩するのは避けたほうがよいでしょう。
「銀杏」の臭いや、実が踏まれて道路が汚れるのを防ぐため、最近では街路樹に実をつけない雄株のイチョウが植えられることが増えています。雄株であれば、「銀杏」が落ちる心配がありません。
ワンちゃんが拾い食いしないようにしつけをして、普段から拾い食いをさせないことも大切です。
自宅での注意点
秋の味覚である「銀杏」を家庭で楽しむ際には、ワンちゃんが誤って食べないよう注意しましょう。「銀杏」の保管場所に気を配り、食事の際にはワンちゃんから目を離さないことが大切です。食事中はワンちゃんを別室に移動させたり、サークルに入れたりするなどの対策をすると安心できるでしょう。
「銀杏」は人にとっては健康に良い栄養素を多く含む秋の味覚ですが、ワンちゃんにとっては危険な食材なので、誤って食べないように注意してあげてください。