犬暮らし

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【獣医師監修】犬の爪切りのやり方、コツを徹底解説

執筆
  • 西田 澄子 ( 獣医師 / ドッグ・ライフ・アドバイザー / 日本ペット栄養学会所属 )

    獣医学科を卒業後、獣医師として動物病院にて勤務。その後、獣医師専門の書籍・雑誌出版社で勤務。現在は、動物病院で獣医師として勤務する傍ら、犬・猫・小動物ライターとして活動を行う。

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自宅で愛犬の爪をするのは不安という飼い主さんも多いのではないでしょうか?
どのぐらい爪が伸びたら切ればいいのか?、どの辺りまで切っても大丈夫なのか?見極めが難しいですよね。
この記事では、犬の爪切りの頻度やタイミング、爪切りの方法と成功させるポイントについて解説していきますので、是非参考にしてください。

子犬の爪切りはいつから?

特に「何ヶ月目から爪を切る」などのルールがあるわけではありません。
子犬がじゃれてきた時に、伸びた爪が服に引っかかってしまうなど、日常生活の中で不自由が出てくるようになったタイミングが爪の切りどきです。
ただ、子犬の爪切りは結構大変です。なぜなら、子犬は足を押さえられて爪を切られることに慣れていないため、怖がって暴れてしまうからです。さらに、犬では爪の先にも血管や神経が通っているため、深く切りすぎるとかなり出血し、神経を切ってしまうと犬はとても痛がります。
「人間の手は良いもの」と覚えてもらいたいため、子犬の時期は爪切りを自宅で無理に行わず、爪を切られることに慣れるまでは動物病院で切ってもらいましょう。

爪切りの頻度と切るタイミングとは?

ここでは、爪切りの頻度と、切るタイミングについて解説します。

犬の爪切りの頻度は?

犬の爪切りをする頻度は月1、2回程度ですが、散歩の際に爪が削れるため、よく散歩に行く犬とそうではない犬とでは、爪を切る頻度が変わってくることがあります。
よく外に散歩に行く犬は、土やアスファルトで爪が削れやすいため、月1回の爪切りが目安です。一方、室内で過ごすことが多い犬は、爪が削れにくいので、月2回を目安に爪切りをしてあげるといいでしょう。

犬の爪を切るべきタイミングは?

月1、2回程度の爪切りが基本といっても、犬によって爪の伸びる速度は違います。
愛犬に以下の様子が見られた際には、爪を切るタイミングですので、基準にしてみてください。

  • 歩くと爪が床にあたってカチカチ鳴る
  • 爪が長くて歩きにくそうにしている
  • 爪が飼い主さんの服や絨毯に引っかかる
  • 爪が肉球に刺さりそうになっている

日頃から、愛犬の爪の伸び具合を確認するのがおすすめです。

犬の爪切りはなぜ必要なの?

犬の爪を伸ばしたまま放置すると、次のような危険性があります。

  • 爪が伸び過ぎて肉球に刺さる
  • 爪が折れたり割れる
  • 指の骨折などねケガをする
  • 骨や関節が変形してしまう
  • 飼い主さんも引っ掻かれてケガをする可能性がある

犬の爪は内側に向かって円を描くように伸びるため、伸びすぎると肉球に刺さってしまいます。また、狼爪(ろうそう)が残っている場合には、散歩が長い短いに関わらず定期的な爪切りが必須です。
また、爪が伸びすぎると、肉球が地面にしっかり接地できず、バランスを取りづらくなります。それにより、足に適切な体重をかけることができなくなり、歩きにくかったり、足腰を痛めやすくなってしまうのです。
さらに、爪が伸びるときには爪だけでなく、爪の中を走る神経や血管も一緒に伸びます。一度爪が伸びてしまってから短くしようとすると、一緒に伸びた神経と血管を切らなければならなくなるため、定期的な爪切りが大切です。

自宅で犬の爪を切るときのポイント

犬の爪の長さの目安は?

理想的な犬の爪の長さは、犬が立っている時や歩いているときに地面につかない程度が目安です。爪の根本にあるピンク色の部分には血管と神経が通っており、その部分まで切ってしまうと、出血だけでなく痛みも伴います。

犬の爪を切りすぎないようにするコツは?

爪が白い場合は、血管を確認し、血管の先端から2mm程度残して切るようにしましょう。

A:切りすぎのため出血してしまいます
B:適切な切断ライン

黒い爪で血管が見えにくい場合には、先端から少しずつ切り、断面が白から透明っぽい色に変わってきたらストップします。
慣れないうちは、先端を爪切りで切り、少しずつやすりで削っていく方法もおすすめです。

犬の爪を切っている時に血が出てしまったときの対処法は?

犬の爪の血管を切ってしまうと、思ったより大量に出血し、痛みもあるため、犬も飼い主さんもパニックになることが多いです。
お互いが冷静で爪の先に止血剤を付けることができれば良いですが、なかなか難しいため、清潔なコットンの上に止血剤を出し、そのコットンで爪の先を優しく押さえ、止血してください。
止血剤がない場合は、清潔なティッシュやコットンで5〜10分程度優しく押さえ、それでも止まらない場合には動物病院を受診しましょう。

自宅での爪切りの方法

最初は難しいと感じる犬の爪切りも、一度やり方を覚えれば、自宅でもスムーズに切れるようになります。
ここでは、上手な爪の切り方を見ていきましょう。

1.犬の爪切りに必要なものを準備する

犬専用の爪切りとやすりを準備しましょう。爪切りにはハサミタイプやニッパータイプ、ギロチンタイプなどがありますが、飼い主さんが使いやすい方を選んでください。
爪切りの後にやすりをかけると切り口が滑らかになり、飼い主さんの服や絨毯に引っかかりにくくなるのでおすすめです。

2.愛犬をテーブルの上に立たせる

まずは愛犬を低めのテーブルに乗せ、立たせましょう。
前足からはじめると愛犬が恐怖を感じやすいので、見えない後ろ足から切っていくのがおすすめです。

3.脇で挟み後ろ足を持ち上げる

飼い主さんは愛犬の胴体を脇でしっかりと挟むように保定します。
そして、愛犬の足を持ち上げて、爪を切ります。

二人で行う時は、一人が愛犬の鼻先におやつを出して興味を引きながら、もう一人が爪切りをします。
もし、愛犬が抱っこされているほうが大人しいという場合には、一人に抱っこをしてもらい、二人で爪切りを行うといいでしょう。

4.愛犬の肉球を押しながら爪を切る

犬の爪は肉球を押すことにより出てくるので、切りやすくするためにも、爪をしっかりと出し、光に透かすなどして、血管がどこにあるのかを確認します。

そして、愛犬が我慢をしてくれるようであれば、血管の手前でバッサリと一回で切らず、少しずつ切っていきましょう。

狼爪がある場合には、忘れずに切りましょう。

5.前足を同じように切る

前足も後ろ足の時と同じように脇で挟んで足を持ち上げて切っていきます。
前足を切る時は愛犬と反対側から持ち上げることで、愛犬から爪切りの様子が見えにくくなるので、嫌がって逃げるのを防げます。

6.切った爪の表面をやすりで整える

爪切りをした後は、断面をやすりで軽く削り滑らかにしてあげます。
もし、愛犬がやすりを嫌がるようであれば、爪の先を削るために散歩に連れて行きましょう。

7.愛犬をたくさん褒める

爪切りが終わった後は、愛犬に「爪切りをすると良いことが起きる」と認識してもらえるように、たくさん褒めて、ご褒美のおやつをあげましょう。

犬の爪切りを成功させる秘訣は?

足先を触られるトレーニングをしてから爪切りをする

そもそも、足先は犬が触られるのが苦手な部位です。
足先を触られることに慣れるようトレーニングをしてから爪切りに進むと、成功に繋がる場合が多いです。
まず、最初に足を1秒触り、少しずつ触る時間を長くしていきましょう。
嫌がってどうしても足を触らせてくれない場合には、おやつを食べている間に優しく褒めながら触ってみるのがおすすめです。ただ、おやつを食べ終わる前に触るのをやめることが大切です。
5秒ほど足を触れるようになったら、肩や腰など子犬が触ると喜ぶ部位を撫でた手を、足へと少しずつ滑らせていくようにして触ります。
最初は足に手を添えるだけにし、それができたら、足を優しく軽く握りながら、足先の方へ手を動かしていってください。それもできるようになったら、肉球を優しくもむ練習に進んでみましょう。

全ての指を一気にやろうとしない

愛犬が嫌がった場合には、無理をしないのが成功への1番の秘訣です。
そのまま続けると愛犬が爪切りを嫌いになってしまいます。
嫌がって暴れだしたら休憩を挟んだり、後日残りの爪を切るなど、無理せず進めてください。

ご褒美を使ってみる

愛犬のペースト状や、柔らかく喉通りの良いおやつをコングなどに塗り付けて、舐めている間に進めるのもおすすめです。

自宅での爪切りが難しいときは、無理せずにプロに任せよう!

自宅での爪切りが難しい場合は、トリミングサロンや動物病院でプロに爪切りをお願いするようにしましょう。
無理に爪切りをすると、愛犬も飼い主さんも怪我をしてしまうことがあります。
トリマーや獣医師は犬の爪切りに慣れているため、愛犬も落ち着いて爪を切ってもらえるでしょう。

最後に

急に爪切りをするのではなく、日頃のスキンシップで愛犬との信頼関係を築き、足先を触られる、爪を切られることに少しずつ慣れさせることが大切です。
爪切りが苦手な場合には、無理をせずプロにお願いし、何よりも飼い主さんとの信頼関係を損なわないことを一番に考えましょう。

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