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ドッグフードに含まれる紅麹色素の用途と安全性とは?

執筆
  • 中村 千尋 ( 愛玩動物看護師 / ペット栄養管理士 )

    小学校時代の夢は「獣医師」
    高校生の時には、より患者さんに近く寄り添える「動物看護師」を目指し、専門学校に入学。
    卒業後、関西の動物病院で愛玩動物看護師として働きながら執筆活動を行う。

  • 犬暮らしプロジェクトチーム

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2024年、紅麹の成分を含むサプリメントを使用した方が、腎疾患などの病気などにより死亡するなどして、大きな問題となりました。では、ペットフード業界での紅麹の使用問題はいったいどうなのでしょうか?犬に与えていいのか?そもそも紅麹を使用する目的は?など、様々な疑問が飛び交いますよね。では今回は、そんな紅麹の問題を詳しく深堀りしていきましょう。

 紅麹の歴史について

実は、紅麹には2000年ほどの深い歴史があります。起源は中国、米などの穀物を紅麹菌で発酵させた食品で、「血行促進」や「内臓を温める」などの健康効果があるとして、中国や台湾で広まっていきました。
現在では、肉の加工やお酒の製造・天然着色料や防腐剤としてなどあらゆる過程で用いられている食品です。
2024年の小林製薬の健康被害問題で、幅広いジャンルの会社から、紅麹を使用した商品の自主回収が相次ぎ、経済的にもかなり深刻な問題といえるでしょう。
ですが、2000年もの歴史がある中で、どうして今になって問題となっているのか疑問ですよね。それは恐らく、小林製薬での製造の過程になんらかの問題があったのではないでしょうか。
小林製薬のホームページでは、「古来よりの製造方法に、独自のノウハウを組み合わせて紅麹を製造している」と記載されています。
製造の家庭で、「未知の成分」が混入していた可能性や、悪玉コレステロールを下げるための「米紅麹ポリケチド」の大量摂取・「アレルギー反応」など、様々な仮説が飛び交っています。
紅麹は調味料としても優秀な食品で、レシピにもよく載っています。これだけいろいろな場面で活躍している紅麹が健康被害を出しているとなれば、もっと早く、もっと多くの声が上がってるはずです。ですので、今回の小林製薬の紅麹には問題がありましたが、「紅麹」という食品そのものには、健康被害とは無関係だと結論づけられるのではないでしょうか。

ドッグフードにおける紅麹の用途とは?

人間にとってはコレステロール値を下げるとしてよく使われていますが、2024年にサプリメントで体調不良や死者が出るなど、大きな問題になっています。
ヨーロッパでは、一部紅麹菌株が生産する有害物質「シトリニン」のサプリメント中の基準値を設定することが決まったり、スイスでは紅麹を成分とする製品は違法とされていたりと、健康への考え方が分かれるそんな紅麹ですが、ドッグフードに使われているのは、いったいどのような目的で使用されているのでしょうか。
それは「着色料として」の使用が主な用途となります。
ドッグフードの見栄えをよくするため、フードの粒を赤や黄色に着色するために用いられるのが「紅麹色素」です。犬は色の認識数が人間と比べ少ないため色によって食いつきが良くなるということはないと考えます。ドッグフードの着色は主に飼い主のためと言えるでしょう。

紅麹色素が使用されているドッグフード自体に健康被害が出ている報告はないのですが、小林製薬の紅麹原料を使用しているドッグフードである場合は、与えるのを控えましょう。
基本、ハイグレードのドッグフードには着色料が含まれていない商品が多く、安価で購入できる俗にいう「激安フード」に分類されるドッグフードには紅麹色素が使用されているケースも少なくありません。着色料が添加されているドッグフードを購入している場合は、一度成分を確認し、紅麹原料を使用されている場合はリコールの対象になっていないかなどを確認した方がいいでしょう。

犬用の食品として紅麹が使用されている商品とは?

代表的なものでいうと、いなばのちゅ~るシリーズやビタワン・ビューティープロなどで有名な日本ペットフード株式会社のドッグフードに使用されています。さらに、「メディコート」や「和のきわみ」が有名なペットラインも紅麹色素が使われているドッグフードを販売しています。
こちらの3社は騒動を受けて、自社の使っている紅麹色素は小林製薬の原料ではないと発表していますね。また、やさしいフードというドッグフードも紅麹色素が使用されていますが、そちらは自主回収されています。いずれの商品も、紅麹色素としての着色を目的とした使用になっています。
ほかにも紅麹色素が使用されているドッグフードやおやつ・サプリメントなどを発見したら、リコールの対象になっていないかや、不安があれば与える前に会社に問合せしましょう。

海外では紅麹は添加物として認められていない国が多い

先ほども少し触れましたが、スイスなど、ほかの国では、紅麹を成分とする製品は販売が違法と定められている国があります。フランスでは、紅麹を由来とするサプリメントは使用前に医師に確認するよう注意喚起されています。
2014年3月に内閣府のサイトにて報告されています。
このように、他国では健康被害の可能性を考え、国が措置を施しているようです。
また、違法とまではいかずともアメリカ・EU・豪州では添加物としては使用していないなど、制限を設けている国もあり、紅麹への健康意識は国によって異なるようです。

結局、犬に紅麹を与えていいのか?

結論、紅麹を与えることと健康に悪影響を及ぼすということは恐らく無関係であるといえます。ですので、紅麹を含む商品を犬に与えることは問題ないと考えられます。
しかし、大事なのは紅麹の原料元を確認することです。実際、小林製薬が提供する紅麹には健康被害が発生することがわかっているのですから、しっかりと確認して安全な紅麹原料であることが分かった上で与えることが重要です。

まとめ

2024年の人間用サプリメントでの問題で、ペットフードメーカーは紅麹の使用を避けるかもしれないので、紅麹を使用した食品は減っていくかもしれませんね。
犬に与えていいのか不安な飼い主様も多いかと思います。
しかし、ご紹介したように紅麹には古い歴史があり、多くの食品に使われてきているので、過度に気にしすぎる必要はないように思います。
ですが、ペットフードに使われている紅麹は着色目的であることがほとんどです。
コレステロール値を正常に保つという効果も期待できるようですが、紅麹色素は犬にとってわざわざ添加する必要はないように思います。
ハイグレードなドッグフードは無添加である商品が多いです。
ですので、愛犬の健康のためにも、そもそも無添加でヒューマングレードのドッグフードを選ぶことをおすすめします。
また、「ちゅ~る」で有名ないなばの商品の紅麹色素の使用は小林製薬の原料を使用していないと発表されていますので、与えるかどうかは自己判断になるでしょう。

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