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去勢と避妊手術は必要?デメリットやメリットなどを紹介

執筆
  • 西田 澄子 ( 獣医師 / ドッグ・ライフ・アドバイザー / 日本ペット栄養学会所属 )

    獣医学科を卒業後、獣医師として動物病院にて勤務。その後、獣医師専門の書籍・雑誌出版社で勤務。現在は、動物病院で獣医師として勤務する傍ら、犬・猫・小動物ライターとして活動を行う。

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犬を飼い始めた方やこれから飼う予定がある方の中には、愛犬に去勢や避妊手術をさせるべきかどうか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、犬の去勢や避妊手術とはどういったものなのか、その必要性やメリット・デメリットについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

去勢と避妊手術について

去勢手術とは全身麻酔をしてオス犬の精巣を摘出する手術で、一方、避妊手術はメス犬の卵巣と子宮、あるいは卵巣のみを摘出する手術です。

どちらの手術も、手術前には獣医師が全身検査を行い、安全に手術ができる状況かを確認します。

そして、手術当日には絶食絶飲の状態で来院し、問題がなければ、去勢手術はその日のうちに、避妊手術では1泊2日で退院することができます。

去勢と避妊手術の推奨時期

何歳になっても去勢や避妊手術はできますが、高齢になるほど麻酔や手術の身体への負担が大きくなります。
そのため、手術をするなら、できるだけ若いうちにすることが推奨されています。
ここでは、去勢と避妊手術それぞれの推奨時期と、その時期が推奨される理由についてお伝えします。

去勢手術の推奨時期

性成熟とは、生殖機能が備わることであり、一般的に小型犬で8ヶ月齢頃、大型犬で10 ヶ月齢頃といわれています。

去勢手術の推奨時期は、体重や健康状態などにもよりますが、この性成熟を迎え始める生後6か月頃から、マーキングやマウンティング行動などのクセがまだついていない 1歳までの間の時期です。

1歳を過ぎても去勢手術はできますが、マーキングやマウンティング行動などがクセになってしまっている場合には、去勢手術をしても改善がみられないことや、麻酔や手術の負担などを考えると、この時期で手術することが推奨されています。

避妊手術の推奨時期

避妊手術の推奨時期は、体重や健康状態などにもよりますが、性成熟を迎え始める生後6か月頃から、初めての発情を迎える前までといわれています。
その理由は、メス犬で最も多い腫瘍と報告されてる乳腺腫瘍の発生率が、初回発情前に避妊手術を行うことにより、未避妊のメス犬に比べ0.5%(その差200倍 )まで抑えられるといわれているからです。
また、初回発情後に行った場合でも8%、2回以上の発情後でも26%まで抑えられると報告されています。
さらに、高齢になるほど麻酔や手術の負担が大きくなることを考えると、手術をするなら早目が良いでしょう。

去勢手術はするべき?メリットとデメリットとは?

手術の不安や、愛犬への可哀想という気持ちから、去勢手術をためらう飼い主さんも中にはいるかと思います。
しかし、犬の去勢手術は必ずしなければいけないというわけではなく、飼い主さんの判断に委ねられているのです。
犬の去勢手術にはメリットがある反面、リスクやデメリットもあるため、どちらも踏まえて、愛犬に去勢手術を行うかどうかを検討するようにしましょう。

去勢手術のメリット

去勢手術の最大のメリットは、望まない繁殖を防げることで、多頭飼いをしている未避妊のメス犬や、屋外で未避妊のメス犬と交尾をし、妊娠させてしまうことを防ぐことができます。
また、去勢手術を行うことにより、前立腺肥大や精巣腫瘍、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなど、オス特有の生殖器関連疾患を予防できるのです。
特に、これらの疾患は高齢になるにつれ発症するリスクが高くなり、悪化すると命に関わることもあります。
さらに、男性ホルモンの影響で本能的に行っている、マーキング(かけション)やマウンティング、メス犬を追いかけ回したり、メス犬をめぐってオス犬同士で喧嘩したり、攻撃的になったりなどの発情行動を減らす効果も期待できるのです。
去勢していないオス犬で、このような発情行動が見られた場合、多くの飼い主さんが制止しようとしますが、制止されたオス犬は交尾ができないイライラからストレスを感じてしまいます。

去勢手術のデメリット

去勢手術は高度な手術ではないため、リスクが低い手術ですが、全身麻酔が必要になるため、麻酔や手術による体への負担が多少なりともあります。
また、去勢手術により本来生殖器で消費するはずだったエネルギー量が減ることや、食欲を抑制する働きをもつ男性ホルモンが減少することにより、去勢手術後は太りやすくなることもデメリットの一つです。
そのため、手術前と同じ量のフードを食べていると太ってしまうので、フードの量や種類を変更するなど、手術後から体重管理が必要となります。

避妊手術はするべき?メリットとデメリットとは?

犬の避妊手術も必ずしなければいけないというわけではないので、メリットとデメリットどちらも踏まえて、愛犬に避妊手術を行うかどうかを検討するようにしましょう。

避妊手術のメリット

避妊手術においても、多頭飼いをしている未去勢のオス犬や、屋外で未去勢のオス犬と交尾をして妊娠してしまうことを防げることが最大のメリットです。
また、避妊手術を施すことで、卵巣腫瘍や子宮蓄膿症、乳腺腫瘍など、メス特有の生殖器関連疾患の予防にも繋がります。
これらの疾患も高齢になるにつれ発症するリスクが高くなり、悪化すると命に関わる場合もあります。
さらに、生理(ヒート)や偽妊娠、それらからくるストレスなどをなくすことも期待できるのです。

避妊手術のデメリット

避妊手術も高度な手術ではないですが、麻酔や手術による体への負担は多少なりともあります。
また、去勢手術同様、避妊手術においても手術後は太りやすくなるため、フードの量や種類を変更するなど、体重管理が必要です。

公共の場や被災時におけるマナーとしての去勢や避妊手術のすすめ

ドッグランなどの公共の場において、他の犬やその飼い主とのトラブルにならないためには、マナーとして愛犬に去勢や避妊手術を施すことは重要です。
もし、ドッグランなど公共の場に連れていく機会がない場合でも、被災時に避難所などの同行避難(ペットを連れての避難)先で、他のペットやその飼い主とトラブルになることがあります。
例えば、愛犬が未去勢の場合には、避難所など同行避難先に未避妊のメス犬がいると、交尾をして妊娠させてしまうというトラブルに繋がる可能性もあるのです。
また、愛犬が未避妊の場合、発情中にオス犬に追いかけ回されたり、オス犬同士が愛犬をめぐって喧嘩になり怪我をしてしまうトラブルが発生することも考えられます。
さらに、避難所では、マーキングやマウンティング行動、生理(ヒート)、偽妊娠などが、トラブルの原因となることもあるため注意が必要です。
実際に、過去の災害においても、ペットに関してのトラブルが多くあったとの報告されているため、予期せぬ災害に備えて、愛犬に去勢や避妊手術を施しておくことは大切です。

最後に

犬の去勢や避妊手術には、賛否両論があります。
最終的には、飼い主さんの決断によりますが、愛犬の負担を考えるとなかなか決断は難しいものです。
愛犬の去勢や避妊手術について、心配や不安、迷いがある場合には一人で抱え込まず、かかりつけの獣医師に相談し、どういったメリットとデメリットがあるのかよく理解したうえで、大切な愛犬にとって最善な選択をするようにしましょう。

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