
今回はプーリーの特徴、飼いやすさ、散歩の量や頻度、罹りやすい病気、月の食事代などについてまとめました。
目次
プーリーの特徴とは?
プーリーは、古くから牧羊犬として活躍してきたハンガリー原産の犬種。くるくると縄状にカールしたロングのドレッドヘアが特徴。牧羊犬らしく、活発で賢い性格をしています。
プーリーの歴史は、驚くべきことに約5500年前のシュメール人にまで遡るという説があります。さらに、遊牧民族の古代マジャール人がアジアを横断してカルパチア盆地に移動する際に連れてきたという説や、トルコ系民族であるクマン人に由来するという見方もあります。
また、中国西部を起源とするチベタン・テリアと体型が似ていることから、両者が共通の祖先を持つ可能性も指摘されています。
プーリーは、ハンガリーの平原プスタで放牧や牛追い、夜間の番犬として活躍する中で、厳しい冬の寒さだけでなく、夏の暑さにも対応できるよう断熱性と機動性を兼ね備えたコード状の被毛を発達させました。
春に羊とともに毛刈りされても、夏を越える頃には再び被毛が伸び、冬には被毛をしっかりと備えた状態に戻る特性があります。
1900年代初頭のハンガリーではプーリーの絶滅が危惧され、ハンガリー獣医大学のエミール・レイツィッツ教授によって組織的な繁殖計画が始まりました。
その頃にはプーリーは国内で広く親しまれており、ハンガリー人にとってプーリーを飼うことが誇りとされていたそうです。その人気はやがて国外にも広がり、アメリカでも注目を集めるようになります。
第二次世界大戦によって絶滅の危機に瀕したプーリーですが、1955年には個体数が回復しました。現在では家庭犬としても多くの人々に親しまれています。
そんなプーリーのアメリカでの人気は、AKC(アメリカンケネルクラブ)によると多くの犬種の中で164位となっています。
参考:The Most Popular Dog Breeds of 2024
一方、日本ではその頭数はかなり少なく、一般社団法人ジャパンケネルクラブの犬種別登録件数は32頭、134犬種中、第86位となっています。
参考:https://www.jkc.or.jp/registr-statistics/
サイズ | 中型犬 |
体高 | 40~43cm |
体重 | 11~16kg |
毛色 | ブラック、パールホワイト |
原産地 | ハンガリー |
平均寿命 | 10~15歳 |
知能 | 高い |
吠え | 吠えやすい |
プーリーは飼いやすい?
プーリーは非常に賢く、家庭でも飼いやすい犬種です。強い忠誠心と高い学習意欲を持つため、家族の一員として良きパートナーになってくれます。
ただし、特徴的なドレッドヘアを保つには小まめなケアや費用が必要です。
必要な散歩量はどのくらい?
牧羊犬として活躍してきたプーリーは、非常に高い体力と持久力を備えています。1日2回、各1時間程度の散歩を目安にしましょう。
広い場所での自由運動やドッグスポーツなども取り入れて、体だけでなく心にも刺激を与えることが大切です。
賢いですか?
プーリーは非常に賢い犬種です。コロンビア大学の博士号を取得したスタンリー・コレン氏が発表した研究結果である犬の知能ランクによると141犬種の中で33位となっています。
詳しくは「賢い犬ランキング、総勢141犬種を紹介!犬の知能テスト方法も紹介します!」をご覧ください。
どんな性格?
プーリーは明るく快活で、忠誠心の強い性格をしています。また、遊び好きな性格なので、家庭内でも元気に過ごす姿が見られます。家族には深い愛情を示し、子どもとも良好な関係を築きやすいでしょう。
一方で、警戒心が強く見知らぬ人には慎重に接する傾向があるプーリーは、番犬にも適しています。
しつけやすいですか?
知能の高いプーリーはしつけによく反応し、トレーニングの習得が早い犬種です。ただし、同じ練習の繰り返しには飽きやすいため、短時間でテンポよく進めることが効果的です。
ポジティブな声かけと一貫した態度での指導を心がけましょう。
吠えやすい?吠えにくい?
番犬としての資質が高いプーリーは縄張り意識が強く、見知らぬ人や物音に対してよく吠える傾向があります。そのため、集合住宅での飼育にはあまり適していないかもしれません。
ただし、子犬の頃からしっかり社会化し、十分な運動を取り入れることで無駄吠えは抑えられます。
抜け毛は多い?少ない?
犬の被毛には以下の2種類あります。
- 皮膚を守るための太くて硬い毛質のオーバーコート(上毛)
- 体の皮膚に近い側にある綿毛のような体温調節を司るアンダーコート(下毛)
プーリーは、ダブルコートの犬種です。ドレッドヘアは生後9〜10ヶ月頃から生え始め、完全なコード状の被毛に育つまでには最大で5年ほどかかることもあります。
抜け毛は少ない反面、毛玉や通気性の問題が生じやすいプーリーは定期的なケアが欠かせません。密な被毛を持つ犬種なので、温度管理と通気性の確保も心がけましょう。
ブラッシングの頻度は?
プーリーの被毛は特殊なコード状で毛玉やもつれが起こりにくい反面、湿気を含むとカビの原因になることがあります。そのため、水に濡れた時はしっかりと乾かすことが大切です。
普段から被毛を指で分けて通気性を保ち、週に1〜2回のブラッシングを心がけましょう。
プーリーが罹りやすい病気とは?
プーリーが罹りやすい病気には以下のようなものがあります。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼、通称パテラと言います。
小型犬に多い病気で、膝の皿が外れてしまう(脱臼)病気です。
原因は主に遺伝によるものですが、外傷が原因になる場合もあります。
症状としては・・・
- 足を気にしている様子
- 歩き方に違和感がある
- 後ろ足が上がらない
- スキップするように歩く
といったものがあります。
また、パキッと音が鳴ったり、目視で変形している様子が見られることもあります。
この病気はグレードによって分かれています。
グレード I
手で膝を伸ばすと外れるが、手を離すと元の位置に戻る。
基本的に無症状の状態が多い。
グレード II
膝を曲げたり、伸ばしたりすると外れる、また、手で戻してあげないと元の位置に戻りません。
スキップしたり、足を気にしたりなど症状が出てきます。
グレード III
継続的に脱臼していて、手で戻すことができるが、手を離すと自然に外れる。
グレードIIIより先は歩行時に継続的に姿勢などに異常が出てきます。
グレード IV
継続的に脱臼していて、手で戻すこともできない
治療法は投薬や体重管理、外科手術になります。
股関節形成不全
主に遺伝性の疾患で、股関節を形成している骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)と、大腿骨の噛み合わせが悪くなる病気です。
症状としては・・・
- 腰を左右に振りながら歩く
- 足の動きが不自然
- 散歩を嫌がる
- 階段などの段差を嫌がる
・・・などがあります。
治療法は基本的には体重管理、抗炎症薬や鎮痛剤やサプリメントなどの投薬、レーザー療法などの保存療法を行います。
保存療法で改善が見られない場合は手術などの外科的治療となります。
進行性網膜萎縮
進行性網膜萎縮と言われる病気に罹りやすい傾向があります。
失明につながる遺伝性の目の病気です。
網膜は目に映った風景を視神経から脳に伝達する役割を担っています。
進行性網膜萎縮、この網膜が萎縮していく病気です。
初期症状として暗い場所での視力低下が現れます。
夕方〜夜間の散歩で鼻でさ探るように歩いたり、ものにぶつかったり、段差につまずいたりといった異変があります。
症状が進行すると日中でも見えづらくなります。
失明まで至ると白内障を発症します。
この病気はゆっくり進行する傾向がありますが、犬によっては早く進行する場合もあります。
予防法、治療法ともにありませんが命に関わる病気ではありません。
犬は臭覚、聴覚が発達していますので段々と環境に慣らせていくことができます。
目がしっかり見える段階から部屋の環境を整え、それ以降はできるだけ配置を変えない、触る前には優しく声をかける、静かな生活を心がける、ぶつかりそうになったら声をかけるなどの配慮をすることで愛犬も安心して暮らせます。
プーリーの1ヶ月の食事代は?
プーリーの1ヶ月の食事代は13,000円程度が目安です。
以下の条件で想定しました。
ドッグフードの価格 = 2,000円/1kg ドッグフードのカロリー = 350kcal 犬の体重 = 13kg(標準体型) 犬の年齢 = 5歳(避妊・去勢済み) |
1日に必要なカロリーは767kcal、1日に必要なドッグフードは219g(月6.5kg)です。
※上記はあくまで参考値になり、ドッグフードの価格、おやつ、トッピングなどで変動します。